みなさんは断食をしたことはありますか?
巷ではよく、健康のために昨日は夕食抜きのプチ断食をしたとか、土日は食事の量を控えているとか、そういうことが話題になっています。
今回は、数年前に僕が実際行った7日間の断食についてお話ししたいと思います。
断食に至った経緯
今の日本人は食べ過ぎだと言われています。食欲が満たされるのはその一瞬だけで、食べ過ぎは体に負担をかけてしまいます。僕も普段の食生活で嫌というほど実感していました。
しかも食べ過ぎてしまうのはいつも夕食なんです。これから寝るだけなのにです。夕食はどうしても1日の中でも豪華にし過ぎてしまうという良くない習慣もありました。
そんなことで思い悩んでいた数年前の寒いある日、僕はある疑問を抱いてしまったのです。
人は何も食べない状態で、どのくらい生きることが出来るのだろうか?
思い立ったが吉日、断食ブームに乗ってその日の夜12時から絶食を開始したのでした。
ルール
- 断食の期間はまずは3日間とし、まだいけそうだったら次は7日間を目標とする。
- 体調に問題があると判断したら断食は中止する。
- 断食期間中は一切の食事、間食など食べ物、飲み物を摂取しない。
- 例外的に水だけはいくら飲んでも良いこととする。
- ハミガキをする際は、歯磨き粉を使用しない。
もはや、ただの苦行ですね。
本当にこれでどこまで生きていけるのかわかりません。
しかし物は試し、やってみた結果をお伝えします。
7日間の苦行
1日目 水曜日
夜12時になった瞬間から開始しました。後はひとまず寝るだけですから気が楽です。
朝起きた時に間違えて何かを口にしてしまわないよう、「断食中!」の張り紙を部屋の目立つところに貼りました。
朝起きてからも食事をすること以外は普段と何一つ変わらずに生活できました。多少のお腹の減りは気になりましたが、仕事をしたり本を読んだり集中して物事に取り組んでいれば忘れてしまいます。
まずまず好調な滑り出しです。翌日以降も期待が持てた一日でした。
・水
2日目 木曜日
いきなり2日目から限界です。朝から昼過にかけて体が重く、何か食べたいというよりは気持ちが悪いという感覚です。仕事は普通に行きましたが、帰宅してからは苦しくて横になったまま何もしたくない気分でした。
危うくガムを食べるところでした。ガムは胃に入る食べ物ではありませんが、自分に厳しく妥協は許しません。
意外なところでキツかったのが、ハミガキをする際に歯磨き粉を付けないというところです。普段何気なくやっているハミガキですが、歯磨き粉がないだけで気持ち悪く感じるなんて知りませんでした。
・水
3日目 金曜日
最初の目標であった3日目に到達しました。振り返ってみると辛いには辛いのですが、案外体はタフなものです。若干フラフラになりながら電車に揺られて移動するのにも慣れました。
今まで水をたくさん飲むように意識していましたが、だんだんと水を飲むことさえも面倒に感じられてきました。そうは言っても水分は重要なので、白湯にするなどしてなるべく水分を摂れるように工夫していました。
友人と電話やメールをする機会がありましたが、電話口から聞こえる友人の声が本当に暖かく感じられたものです。
(この時点では友人に詳細まで伝えていません。)
3日目は体調的には限界でしたが、僕の心の声に聞いたところ「まだいけるでしょ?」とのこと。
目標は高く、7日間に向けて再スタートを切ったのでした。
・水
4日目 土曜日
ついに4日目、一週間でいえば半分です。休日なのでかなりの安堵感がありました。
夜はなかなか集中して眠ることができず、朝方になってようやく寝付くというパターンが定着してきました。
同じ夢を何度も見るようになり、あまりにも繰り返し同じ夢ばかり見るので、なにか意味があるのかと真剣に悩みました。
朝に寝付いて昼まで寝ていたため、自分はいったい何の目的で絶食をしているのかわからなくなり途方に暮れたのもこの頃です。
そして水を飲むのが本当に面倒です。飲んだ後も気持ち悪くなるので、それが嫌で飲みたくないのかもしれません。そういうわけで極度の脱水症状のように唇の皮がはがれ気味になりました。
水をたくさん飲むのでトイレには行くのですが、お腹に力が入らないのでおしっこも少ししか出ません。
それまでは、何も食べていなくてもトイレで大が出ていましたが、この辺りから頻度と量が急に落ちてきます。
いわゆる宿便というものが、出始めたのもこの頃からです。明らかに身体に変化が現れてきたのがわかります。
※プライバシー保護のため、詳細な描写は避けます。
・水
5日目 日曜日
おいしい食べ物のことをよく考えるようになりました。そのトップが讃岐うどんです。寒い季節なので、あったかいうどんが食べたいと心の底から思っていたのでしょう。
もう体も心も極限状態かもしれません。かすみを食べて生きる仙人の領域に入れるのではないかとさえ思いました。
勢いで目標を7日間としたものの、さすがに生命の危機を感じ始めます。
・水
6日目 月曜日
体調はまあままといったところ。仕事はあらかじめ休みにしました。普段使うことのない有休を無駄に消費する絶好のチャンスです。
体のつらさは我慢できないものではないですが、日中あまり体を動かさないせいか夜はほとんど眠れなくなりました。
水は飲んでいますが、おしっこもあまり出ません。そして尿は薬のようなにおいがします。便意はまるでありません。
考えることは食べ物のことばかり。あれが食べたい、これが食べたいと考え始めるとループから抜け出せなくなってしまいます。読書でもして気を紛らわせないと本当におかしくなってしまいそうです。
・水
7日目 火曜日
最終日も有休を使ってお休みにしました。そして7日間の闘いが終わると思うとワクワク感も感じられました。
例によって、朝まで寝付けないために昼まで寝てしまいますから残り半日。何をして過ごしたのか覚えてもいませんが、ほとんど横になっていたのでしょうね。
・水
終了後の様子
1週間の断食を終えて、体重はかなり減ったと思います。もともと身長170cm弱、体重55kgとやせ型ではありましたが、腹回りの肉はなくなり、顔も頬がこけてしまいました。
当時、体重計を持っていなかったので実際の体重変化はわかりませんが、体感としては50kg近くまで減量していたのではないかと思います。
腹まわりの痩せ具合は異常でした。
体の老廃物が出てデトックス効果があるという話もありますが、それはよくわかりませんでした。
水はたくさん飲んでいましたが、老廃物は目で見てそれと分かりづらいですから。
宿便らしきものはずっと出ていたので、腸内に溜まっていた不要なものは排出されたのかなと思います。
断食をやってわかったこと
食べ物の素晴らしさを再認識
食事に対して感謝の思いを抱いて食べることなんて今までなかったのですが、この世界に無数の食べ物があることに感謝の念を持ちました。
普段であれば何も考えずに食べてしまう食事でも、食べられることが嬉しくて仕方なかったのを覚えています。
最初に食べた一口目の味。お粥の上澄み程度でしたが、一口一口を食べられることが本当に幸せだと感じました。
においに敏感になった
また、匂いにとても敏感になります。道を歩いているだけで、今まで気が付かなかったにおい、特に飲食店などのにおいが食欲を刺激してきます。うどん、そば、カレーライス、牛丼、、。
世の中は素晴らしい食べ物で溢れ返っています。
体調面の変化
体調的な面に関して言えば、断食中は体調不良の波が何度かやってきましたが、波を越えてしまえば案外平気でいられることが多かったです。
たとえば、仕事や読書、何かの作業に集中しているときは空腹を忘れさせてくれます。
7日間と言わずにまだまだいけそうな感覚もありましたが、それは幻覚でしょう。実際には挑戦しなくて正解でした。
体に入ってくる栄養がないため力がなかなか出ませんが、歩いたり荷物を持ったりと日常生活でできないことはあまりなかったと思います。
体調は気持ち次第で変化するところが大きいです。気合いが入っているときは調子よく過ごせますが、一度気分が悪くなりだすと横になったり座ったりしていないと生きているのがつらくなります。
終了後も体調をもとに戻すまでに苦労しましたが、しばらくすればもとのように健康な体を実感できます。以前よりも軽やかに生まれ変わった印象も感じることができました。
※個人の感想です。効果には個人差があります。
注意点
注意すべきことがあるとすれば、断食終了後の食事です。本当にこれに尽きると思います。
長時間の断食後にいきなり通常の食事を始めてしまうと、胃腸に負担をかけてしまうことがあります。
若いときはそれでも平気かもしれませんが、歳を取ってからその影響で胃腸が弱くなったりするかもしれませんし、今気を付けるに越したことはないと思っています。
断食をする人の多くは「断食」をやっている最中はその目標を達成することに集中しているのですが、期間を全うしてしまうとその開放感から好き放題に食べたり飲んだりしてしまう人もいるのではないでしょうか。
別の記事でも詳しく書きますが、僕は断食明けの食事には本当に気を遣うようにしていました。
実際、1週間断食の後は食事を抜いた期間と同じ7日間以上はお粥や豆腐などを中心とした消化の良いものを食べていましたし、1ヵ月の間は脂分の多い肉料理や甘い食べ物も控えるようにしていました。不用意な外食もその期間はなるべく避けていました。外食は脂分が多くなりがちです。
断食後の食事面にも徹底して取り組む自信がないなら1週間断食なんてしない方がいいです。する人はあまりいないと思いますが。
7日間断食のまとめ
- 人は何も食べなくても、水だけで1週間生きることができる。
- 心身共にリフレッシュできるけれど体調へのリスクも大きい。
- 体重の減量目的で行うのは無謀。
- 断食明けの食事には十分に注意が必要。
僕が実際にやったのは数年前のことですが、ひとつ言えることは「1週間の断食なんてもう二度とやりたくない!」ということです。