「Surface Studio 2+」実機レビュー：Intel第11世代CPU、NVIDIA RTXグラフィックス搭載 All in Oneデスクトップ

「Surface Studio 2+」の実機をレビューします。

「Surface Studio 2+」は国内で2022年11月1日に発売となったモデルで、現在は公式マイクロソフトストアなどで販売中となっています。

「Surface Studio 2+」では、Intel第11世代Core H35プロセッサ、NVIDIA GeForce RTXグラフィックスを搭載し、シリーズ高速のパフォーマンスとグラフィックスを実現しました。

ハードウェアはSurface Studio 2のデザインを継承していますが、Thunderbolt 4を搭載するなど性能面、機能面でのブラッシュアップが行われたオールインワン・デスクトップです。

■Surface Studio 2+ - 公式マイクロソフトストア
https://www.microsoft.com/ja-jp/d/surface-studio-2-plus

「Surface Studio 2+」のポイントはコチラです。

「Surface Studio 2+」は28インチのゼログラビティヒンジ付きオールインワン・デスクトップPCです。大画面でハイパフォーマンスな作業も十分にこなせるほか、タッチパネルとペン入力に対応していますので、CADオペレーターやクリエイターなどよりプロフェッショナルな業務での利用にも向いているハイスペックなSurfaceとなっています。

デザインは以前のSurface Studio 2からほとんど変更されていませんが、プロセッサ・GPUの更新、ポートの刷新、Dolby VisionおよびDolby Atmosへの対応、カメラ・マイクの変更など機能アップデートが随所で行われています。クリエイター、デザイナー、アナリストなどのプロフェッショナルな用途でもバッチリです。

今回はマイクロソフト様より評価機をお借りしましたので詳しくレビューしていきます。

「Surface Studio 2+」発売日：11月1日

「Surface Studio 2+」の発売日は2022年11月1日です。

米国での発売日は10月25日ですが、国内の一般消費者向けには11月1日からの出荷となっています。

■Surface Studio 2+ - 公式マイクロソフトストア
https://www.microsoft.com/ja-jp/d/surface-studio-2-plus

「Surface Studio 2+」特徴をレビュー！

Intel Core i7-11370H CPUとNVIDIA RTX 3060 GPU搭載

「Surface Studio 2+」では、プロセッサにIntel Core i7-11370H、グラフィックスにNVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPUを搭載しています。

CPU世代では最新の第12世代ではありませんが、Surface Laptop Studioのi7モデルと同じラップトップ用チップであるIntel Core i7-11370Hを採用しています。前モデルSurface Studio 2と比較して最大50%のパフォーマンス向上を実現します。

CPU/GPUの性能をクロスプラットフォームで計測できるベンチマークソフトGeekbench 5の結果がコチラ。

インテル第11世代ということもあり、CPU単体のスコアではSurface Laptop Studioと同等の結果となりました。しかし、第12世代を搭載するSurface Laptop 5と比較するとマルチコアスコアが大きく劣っているのがわかります。

Geekbench 5 CPU比較

	Single-Core Score	Multi-Core Score
Surface Laptop 5/ Core i7-1255U	1612	7853
Surface Studio 2+/ Core i7-11370H	1551	5834
Surface Laptop Studio/ Core i7-11370H	1594	5780

※Surface Laptop 5はi7モデルで比較しています。

続いてGPU/GPGPUを加味したグラフィックス処理や演算能力についてOpenCLスコアで比較してみましょう。

Geekbench 5 OpenCL比較

	OpenCL Score
Surface Studio 2+/ NVIDIA GeForce RTX 3060	96088
Surface Laptop Studio/ NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti	61883
Surface Laptop 5/ Intel Iris Xe Graphics	18154

※Surface Laptop 5はi7モデルで比較しています。

Surface Studio 2+がほかを大きく引き離して優勝です。Surface Laptop Studioにも同じブランドのGPUが搭載されているのに型番が違うとここまで違うのかと驚きでした。

外部GPUとしてNVIDIA RTX 3060 Laptop GPUを搭載していることで、グラフィックパフォーマンスを2倍するよう設計されているため、3Dデザインのレンダリングやアート、アナリティクスなどのパワーを必要とする作業で大幅なパフォーマンスアップが可能となっていました。その点で「Surface Studio 2+」は最も強力なSurfaceといってもよいでしょう。

ハードデザインの変更なし

「Surface Studio 2+」では前モデルからハードの筐体デザインを変更しませんでした。

28インチのPixelSenseタッチディスプレイはゼログラビティヒンジと呼ばれる強力なヒンジで支えられています。デスクトップモニタとして利用する際はディスプレイを垂直に立てることもできますし、軽く押すだけで好みの角度に固定できます。

デバイスの使い勝手も前モデルから変更がなく、普段はデスクトップPCとして使用していて、タッチ操作やペン入力を行うときはディスプレイを倒して大型パッドとして利用できるという使い勝手もそのままです。

付属アクセサリのSurfaceキーボード、マウス、ペンに関してはデザインの刷新が行われています。

3つのThunderbolt 4対応USB-Cポート搭載

「Surface Studio 2+」では、デバイス背面のポートレイアウトが変更されました。以前のSDカードリーダーはなくなり、代わりにThunderbolt 4対応の3つのUSB-Cポートが設置されました。

Thunderbolt 4に対応することで、大容量データの高速転送や最大3つの4K外部ディスプレイへの出力に対応しました。ただし「Surface Studio 2+」のディスプレイを他のPCの外部モニターとして逆に接続して使用することはできませんのでご注意ください。

Dolby Atmos、Dolby Vision対応

「Surface Studio 2+」では映像、オーディオ、マイク、カメラの性能もアップデートされています。

Dolby Vision（HDR）とDolby Atmos（3D空間オーディオ）の認定を受けており、2つの遠距離感度マイクと1080pウェブカメラを搭載しているため、オンライン会議などでの品質向上が期待できます。

Secured-Core PC認定、コンポーネント交換可能

「Surface Studio 2+」はWindows 11 Proが搭載されSecured-Core PC認定にも適合しています。外部攻撃から大切な機密データを保護する高度なセキュリティ性能を実現していることが評価されています。

また、マイクロソフトから認定された技術者によるかんたんな修理やコンポーネント・パーツの交換を可能とする内部設計が実現されています。企業のIT担当者などが開封し、ディスプレイやマザーボードなどの一部コンポーネントを交換することが可能となっています。

■Surface Studio 2+ - 公式マイクロソフトストア
https://www.microsoft.com/ja-jp/d/surface-studio-2-plus

「Surface Studio 2+」実機をレビュー！

つづいてSurface Studio 2+の外観をチェックしていきましょう。

Surface Studio 2+ 本体レビュー

「Surface Studio 2+」の外観は一般的なデスクトップPCと似ています。28インチの大型ディスプレイ、それを支えるコンパクトなベース部分、そしてキーボードなどアクセサリが付属しています。

大きさの割にシンプルでスマートな外観が魅力ですね。側面や裏側もスッキリしていて余計なものがないのがいいです。

外箱の写真を掲載していますが、とにかく大きくて重いです。本体だけで重量が9.56 kg、アクセサリなど含めて全体で約10 kgなので、大人が持ち上げるのも慎重になりました。

本体のサイズはPCモニタやTVのように大きいです。プロセッサを搭載するベース部分は厚みがありしっかりしているものの、ディスプレイは最も薄い箇所で厚さ7mmと非常にスマートなデザインとなっています。

28インチの大型ディスプレイはゼログラビティヒンジと呼ばれる強力なヒンジで支えられています。このヒンジにより、作業にあわせて好きな角度にディスプレイを傾けることが可能となっています。

ディスプレイを両手で押さえてゆっくりと傾けたり戻したりすることで角度調節することができます。ディスプレイを最も傾けた状態ではペンを使ってのイラスト作成などアートワークにも向いています。角度は無段階で自由に調節でき、固定されれば作業中にかんたんに倒れ込むようなことがないのが素晴らしいですね。

ディスプレイを最も傾けた状態から戻す際に軽い力で起こすだけでスッとディスプレイが起き上がるのが感動的でした。ゼログラビティとは無重力を意味しますが、そういうところから命名されたのかもしれません。

本体の付属品は、Surface キーボード、マウス、ペンのアクセサリ。そのほかにACアダプターとかんたんなガイドブックが付いています。

Office Home and Business 2021が利用可能ですが、ライセンスカードは付属せず、製品内にプレインストールされてライセンスが紐づく形になっています。

ACアダプタは3ピンプラグとなっているため、一般的な家庭用の2ピンコンセントへ挿し込むには変換アダプタや3ピン対応の延長タップなどを別途準備する必要があるので注意してください。

Surface Studio 2+ ディスプレイレビュー

大画面の美しい高精細ディスプレイ

28インチのスクリーン液晶は、タッチ対応のPixel Senseディスプレイです。

解像度4500 x 3000 (192 PPI)とSurfaceシリーズで最も高解像度となっており、写真や映像を高精細に映すのにも向いています。

画面は縦横比3:2で、ほかのメーカーで主流の16:9の横長ディスプレイよりも縦幅が広くなっています。Surfaceシリーズの特徴です。

縦横比3:2では縦幅が広くWebページや資料の閲覧時に1画面の表示量が多くなるため、とてもゆったりとして見やすく、スクロールする頻度も少なくなります。また、3:2という比率は一眼レフなど多くのカメラで扱うスタンダードなアスペクト比であるため、撮影した写真を見切れることなく画面いっぱいに表示できるというメリットもあります。

ベゼル（画面の縁）は縦横ともに2cm程度とやや広めですが、ディスプレイ全体の大きさと比較すれば圧迫感はありません。

Pixel Senseディスプレイはタッチ・ペン対応

Surface Studio 2+のディスプレイはタッチ対応・ペン対応となっているため、指やSurfaceペンを利用して画面を操作したり文字やイラストを描くことが可能です。

付属のSurfaceペンは従来型の筒状のモデルとなります。Surface スリムペン2などのペンでもSurface Studio 2+へのペン入力は可能ですが、筆圧を再現する触覚フィードバック機能やペンを充電する機能はありません。

グレアガラスなので反射する

Surfaceディスプレイ唯一の課題は、ディスプレイガラスがグレア加工で光沢があるため反射や映り込みが起こりやすいところです。

艶のあるガラスディスプレイは映像を美しく見せる面でメリットですが、実際の作業時には光や照明の反射が気になる場合も多いと思います。

ディスプレイの角度を調整して解決するようにしましょう。

「Surface Studio 2+」アクセサリレビュー

つづいて「Surface Studio 2+」のアクセサリを見ていきましょう。

Surface キーボード

付属のキーボードは別売りでも販売されているSurface キーボードと同型のデザインとなりますが、一部のボタンが最新デザインとなっています。

本体カラーとマッチするグレーカラーの薄型Bluetoothキーボードで、使い心地のよい打鍵感が特徴的です。静音性もそこそこよいので比較的快適にタイピングできました。

一般的なキーボード機能のほかに、特殊な機能ボタンがいくつか搭載されています。

プリントスクリーン機能や通知スペースの表示ボタン、電卓ボタン。またロックボタンは瞬時にWindowsロックができるため席を外す際に便利です。

また、Surface キーボードのボタンとして新たに追加された絵文字ボタンは、絵文字の入力ボックスを表示してくれます。PCのテキスト入力時でもかんたんに絵文字を入力することができます。

Surface マウス

グレーカラーのBluetoothマウスです。Surfaceシリーズにぴったりなスタイリッシュなデザインのマウスで、手のフィット感がよいです。

メタルスクロールホイールは安定した心地よい使用感で、クリック感やポインティングも快適に行えます。

Surface ペン

付属のSurface ペンは従来型の筒状デザインのペンとなります。こちらも電池式でBluetooth接続により画面入力が可能となります。

Surface Dial（別売り）

こちらは別売りとなるSurface Dialです。直感的な操作が可能となり、クリエイティブな作業などでも自然に作業ができるダイアル型入力デバイスです。

Surface Studio 2+ではイラスト作成や画像編集などアートワークを効率的に操作するのに役立ちます。

イラスト作成などのシーンではダイアルを回すことで画面上のイラストを拡大縮小させたり、回転させることができます。また、マウスのスクロール操作と同じようにWebサイトの記事をスクロールしたり、表示した画像を次へ進めたり戻したり、音楽のボリュームを調整することもマウスなしで操作できます。

Surface Dialのもう一つの特徴は、卓上に置いて操作する方法のほかにディスプレイ上に置いて操作可能となるところです。

ディスプレイ上で直接操作することでより直感的な操作が可能となります。利用できる機能はアプリやWindows機能ごとに割り当て可能となっており、Windowsの設定から変更することができます。

「Surface Studio 2+」インターフェイス・カメラなど

インターフェイス

Surface Studio 2+のインターフェイスはベース部分の背面にまとまっていますが、Thunderbolt 4対応のUSB-Cが搭載されるなど変更がありました。

USBポートは、USB-Cが3つ追加されています。USB4.0/ Thunderbolt 4に対応することで、大容量のデータ転送や最大3枚の4K外部ディスプレイへの出力が可能となりました。

カメラ

ディスプレイ上部にフロントカメラとWindows Hello顔認証用のカメラが搭載されています。

ビデオ会議などで利用できるフロントカメラは、1080p フルHDビデオ対応と高性能なため日常利用には申し分ない品質です。部屋の明るさを判断して明るさを自動調整するアンビエントライトセンサーも搭載されています。

Windows Hello顔認証も利用可能なため、ディスプレイの前に座るだけでパスワード入力なしでサインインが可能となります。

Surface Studio 2+ カメラ

機能
Windows Hello 顔認証用カメラ
フロント カメラ (1080p フル HD ビデオ)

マイク・スピーカー

「Surface Studio 2+」のマイクはディスプレイ上部へ、スピーカーはベース部分に搭載されています。

ディスプレイ上部のDual far-field スタジオマイク（遠距離感度マイク）は、静かな部屋であれば離れた距離の音声でもクリアに拾ってくれるマイクです。

スピーカーはベース部分の上部に搭載されていて、Dolby Atmos対応のステレオスピーカーとなっています。ビデオ通話や音楽再生、映画視聴時に臨場感あふれる音声体験ができます。

この辺の機能については前モデルから着実に改良されてきています。

「Surface Studio 2+」では外観デザインの変更はないものの、プロセッサ、インターフェイスなど多くの点でアップデートが行われていました。旧モデルを利用していた場合には買い替えのメリットが非常に大きいでしょう。

詳細はコチラ。

■Surface Studio 2+ - 公式マイクロソフトストア
https://www.microsoft.com/ja-jp/d/surface-studio-2-plus

「Surface Studio 2+」メリット・デメリットはこれ！

「Surface Studio 2+」を利用して感じたオススメなポイントと良くないポイントをまとめます。

Surface Studio 2+の実機をしばらく使用した結果、デスクトップPCとして非常に快適で使いやすかったです。大画面のデスクトップPCの中でもSurfaceらしく美しくてスタイリッシュなデザインとなっていて、本体はディスプレイとベースというシンプルなオールインワンPCです。キーボード、マウスといった付属のアクセサリも統一感のあるデザインとなっています。

搭載プロセッサは第11世代のIntel CPUで一世代前となりますが、GPUにNVIDIA GeForce RTX 3060を搭載したことで一般的なマルチタスクやゲームなどの高負荷な作業でも非常に高パフォーマンスとなっていました。プロセッサ単体のベンチマークではSurface Laptop 5やSurface Pro 9 Intelモデルには負けますが、GPUを考慮したPC全体のパフォーマンスベンチとしてはSurface Studio 2+がSurfaceシリーズで最も高いパフォーマンスをマークしました。

28インチのディスプレイは非常に大きく、デスクトップPCのモニタのようですが、タッチ操作やペン入力に対応しているという特徴があります。強力なヒンジによるディスプレイ角度の調整もかんたんなため、画面を倒してのペン入力も快適に行えました。

一方、デメリットを考えると、前モデルからの違いが分かりにくいという点が挙げられます。変更点としてはプロセッサとグラフィックスの更新によるパフォーマンスアップ、USB-Cの搭載、マルチメディア関連の機能強化がありますが、ハードデザインは変わらないため、前モデルからの変更点が実感しづらい場合もあるかもしれません。

また、製品本体は非常に大きく重いため、かんたんに持ち運ぶことができません。デスクトップPCとなるため、机上に据え置いて使用するのが基本となりそうです。

Surface Studio 2から使い方は大きく変わらないため、性能的な部分での買い替えであれば使い勝手で戸惑うところは少ないでしょう。

「Surface Studio 2+」価格

「Surface Studio 2+」の価格です。

Surface Studio 2ではラインナップが選択できましたが、Surface Studio 2+ではスペック固定となり、コストアップされています。

■Surface Studio 2+ - 公式マイクロソフトストア
https://www.microsoft.com/ja-jp/d/surface-studio-2-plus

「Surface Studio 2+」レビューまとめ

「Surface Studio 2+」についてレビューしました。

ハードデザイン的には大きな変更はありませんが、プロセッサ・GPUの更新、Thunderbolt 4やDolby Atmos/Visionへの対応など性能面での更新が多く行われています。

価格的には非常に高価なデバイスであるため気軽に購入できるものではありませんが、高いパフォーマンスを必要とするクリエイター、デザイナー、設計、分析などの業務分野でも安心して利用できそうです。

オールインワンのデスクトップを探している方にはぜひSurface Studio 2+を検討してみてください。

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