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MicrosoftのSurface Proシリーズ、「Surface Pro 7」と「Surface Pro X(エックス)」の2機種、買うならどっちがいいでしょうか?
この記事は、2020年10月に追加されたSurface Pro Xのリフレッシュモデルについて加筆・修正しております。
Surface Pro 7(2019年10月23日発売)は、Surfaceで一番人気のSurface Proシリーズの最新モデルです。旧モデルSurface Pro 6の後継製品で、CPU性能の向上やUSB-Cへの対応といったアップデートが行われています。
■製品詳細:Surface Pro 7 - Microsoft
Surface Pro X(国内2020年1月14発売)は、メインのSurface Proシリーズとは別路線の新しいシリーズの機種となります。こちらはARM版Windows 10プロセッサを搭載し、省電力・LTE対応でSurfaceペンが内蔵できるという特徴がある一方、一部のアプリがうまく動作しないという多少のデメリットもあります。
■製品詳細:Surface Pro X - Microsoft
この記事では、Surface Pro X と Surface Pro 7 の特徴や違いについてまとめていきます。
どっちを購入しようか迷っている方はチェックしていってください。
Surface Pro XのSQ1とSQ2プロセッサーの違いについては別の記事で比較しています。
Surface Pro X「SQ2」と「SQ1」モデルの違い。
Surface Pro X と Surface Pro 7 の違い
Surface Proシリーズは、画面とキーボードを分離してタブレットとしても利用できる2 in 1デバイスです。マイクロソフトの最高峰ノートPCと言えるでしょう。
Surface Proのこれまでの流れを汲むのがSurface Pro 7となり、Surface Pro Xはまったく別のコンセプトを持つ新しいタブレットPCといった位置づけです。
Surface Pro 7の特徴
- 学校・仕事など一般的な用途で十分なスペック
- ノートPCとタブレットを使い分け可能
- SIMスロットなし、LTE未対応
- 価格 109,780円~
Surface Pro Xの特徴
- ARM版プロセッサ搭載のニュータイプ機種
- 省電力に優れ、バッテリー最長15時間使用可能
- nano SIM・eSIM対応でLTE 4G利用可能
- 価格 142,780円~
Surface Pro 7は従来どおり携帯性に便利な2 in 1 PCで、大学生やビジネスシーンでも十分に利用可能な機種です。一方、Surface Pro Xはスマホ・タブレット感覚で常時LTE接続されているため、電源をオンしてすぐにインターネットするなど使いたいときにすぐ使える2 in 1です。
どちらもノートPCスタイル、タブレットスタイル、背面キックボードを立てたスタジオモードの3形態での利用が可能。本体(液晶タブレットPC)とタイプカバー(キーボード)は別売りとなっています。
Surface Pro Xはポータブル高性能タブレットPCという感じ
どちらを購入しようか迷っていてどうしても決められないという方は、Surface Pro 7を選べば間違いはありません。マイクロソフトのSurfaceで最も標準的なノートPCで、一番人気のある無難な機種だからです。スペックも申し分ありません。
バッテリー持ち、常時LTE接続などの機能に魅力を感じる方、新しいテクノロジーを積極的に取り入れたいという方にはSurface Pro Xもオススメです。
Surface Pro 7の後継機となるSurface Pro 8は2020年内の発売が見送られました。いつ発売されるかわからないSurface Pro 8を待つより現状ではSurface Pro 7を選択するのが賢いです。
【11月1日発売へ】Surface Pro 8 発売日はいつ? 9月22日発表。予想スペックや仕様など。
ここからはSurface Pro 7とSurface Pro Xの違いについて細かく比較していきます。
プロセッサ
Surface Pro 7 と Surface Pro Xの大きな違いの一つはCPUタイプです。
Surface Pro 7 | Intel Core 第10世代 Core i3/ i5/ i7 |
---|---|
Surface Pro X | Microsoft SQ1 Microsoft SQ2 |
Surface Pro 7では従来どおりインテルCoreシリーズ(第 10 世代)が採用されており、前モデルの2.3倍高速に動作すると言われています。2019年製ですが現状でまだまだ高パフォーマンスが期待できます。
一方、Surface Pro Xでは、マイクロソフトとQualcomm社が共同開発したARM系の独自CPU(SoC)「Microsoft SQ1およびSQ2」を搭載しています。
ARM系CPUはスマートフォンなどによく使われるもので、消費電力を抑えつつ効率的な処理を行えるという理由で広く普及しています。それをWindows PCのプロセッサとして搭載しているのがSurface Pro Xで、これまでの一般的なCPUのWindows 10とはまったく別物と考えていいですね。
MacのCPUも今後はARMベースに移行していく予定であることが発表されていますので、世界的な流れの中では最先端というところでしょう。
Surface Pro Xは、通常のノートPCというより、モバイルデバイスを意識した独自路線の2 in 1 PCと言えます。
Surface Pro Xは一部アプリに制限あり
ただし、ARM版のWindows 10には多少の制約があります。Microsoft SQ1/ SQ2というARM版CPUを搭載したSurface Pro Xは、2020年10月時点ではすべてのWindowsアプリを実行できません。
デスクトップアプリ・ストアアプリ | |||
---|---|---|---|
x86アーキテクチャ | ARMアーキテクチャ | ||
32bit (x86) |
64bit (x64) |
Arm (32bit) |
Arm64 (64bit) |
○ | × | ○ | ○ |
ARM専用に設計されたアプリは快適に動作しますが、32bit版・64bit版アプリは動作に制約があります。
まず、32bit版アプリは動作しますが、実行命令をARM用に読み替えるエミュレートが入りますので期待するほどの処理速度が出ません。アプリの実行自体は可能で通常利用では気にならない程度ですが、最新機種としては動作が遅いと感じるかもしれません。
そして次が問題ですが、現在主流の64bit版アプリはSurface Pro Xでは実行できません(2020年10月時点)
これはかなり痛手だったのですが、2020年11月に32bit版アプリ同様に64bit版アプリのエミュレート機能が提供される予定です。機能が正式に展開されるようになればSurface Pro Xでも事実上すべてのアプリケーションが実行可能になります。
参考ARM搭載のWindows 10向けにx64エミュレーションが登場、x64アプリ全般が動作可能に - Gigazine
プロセッサベンチマーク比較
CPUおよびGPUの処理性能のベンチマーク比較です。
Model/ CPU | Single-Core Score | Multi-Core Score |
---|---|---|
Surface Pro 7/ Intel Core i7-1065G7 | 5665 | 18059 |
Surface Pro 7/ Intel Core i5-1035G4 | 5115 | 16773 |
Surface Pro X/ Microsoft SQ1(AArch) | 3512 | 11051 |
Surface Pro 7/ Intel Core i3-1005G1 | 4775 | 9279 |
Surface Pro X/ Microsoft SQ1(32-bit) | 2101 | 6617 |
Surface Pro X レビュー記事で詳しいベンチマーク結果をまとめています。
参考Surface Pro X レビュー「これはPCではなくARM版Windowsタブレット(キーボード付)!」
Surface Pro 7が処理性能では勝っています。Surface Pro XもARM用に設計された専用アプリなら快適に動作しますが、32bitアプリの場合はエミュレート動作が入りますので処理が遅くなってしまいます。
本体サイズ・薄さ・重さ
2台ともA4サイズに近いノートPCですが、若干サイズが異なっており、厚さはSurface Pro Xの方がより薄く設計されています。
Surface Pro 7 | Surface Pro X | |
---|---|---|
本体サイズ | 292 mm x 201 mm | 287mm x 208mm |
厚さ | 8.5 mm | 7.3mm |
重量 | 775 g/ 790 g | 774 g |
若干の違いはあるものの、Surface Pro 7 も Surface Pro Xもほとんど同じサイズ感・重さだと言ってもよいでしょう。
薄さに関してはSurface Pro XがSurface史上最も薄い7.3mmとなっています。
詳細の製品技術仕様については各製品ページで。
Surface Pro 7 (2019)
Surface Pro X (2020)
液晶サイズ
Surface Pro Xの液晶サイズはSurface Pro 7よりも大画面となります。
本体サイズはSurface Pro XもSurface Pro 7もほぼ一緒ですが、Surface Pro Xの方が液晶ディスプレイのベゼル(画面外の黒枠)が狭いためスクリーンサイズは大きくなっています。
Surface Pro 7 | Surface Pro X | |
---|---|---|
スクリーン | 12.3インチ | 13インチ |
解像度 | 2736 x 1824 (267 PPI) | 2880x1920 (267 PPI) |
縦横比 | 3:2 | 3:2 |
バッテリー駆動時間
Surface Pro 7とSurface Pro Xのバッテリー駆動時間を比較すると、Surface Pro Xが最長15時間と優れています。
デバイス使用時間 | |
---|---|
Surface Pro 7 | 最大 10.5 時間 |
Surface Pro X | 最大 15 時間 |
通常のデバイス使用方法で連続使用可能な時間です。あくまで公称値です。複数のアプリを実行したり連続で動画再生したりすると実際にはこれよりも短い時間しか利用できません。
Surface Pro Xの駆動時間は2019年時点では最長13時間でしたが、2020年10月の発表ではアップデートにより最長15時間へ変更されました。
LTE対応
Surface Pro 7はLTE非対応なのに対して、Surface Pro XではLTEモデムを内蔵しており標準でLTEに対応しているという点も大きな特徴です。
Surface Pro 7 | Surface Pro X | |
---|---|---|
LTE | 非対応 | 対応 |
LTEモデム | - | Snapdragon X24 LTE modem |
Surface Pro 7でもモバイルWiFiなどを利用すれば外出先でインターネットができますが、Surface Pro Xなら余計な操作なしで4G LTE(LTE Advanced Pro)回線に接続して高速インターネットをすることが可能です。
nano SIMとeSIMのデュアルSIMに対応しているため、国内用と海外用など状況によってSIMを切り替えるといった運用にもマッチします。※別途、SIM/eSIM契約が必要となります。
Surface Pro Xでは、ARMベースのメリットとしてPCのスリープ(画面OFF)中もスマホのようにLTE通信が行え、ロック解除後すぐにインターネットを利用可能です。
Surface Pro Xはペン収納可能
Surface Pro Xでは本体のキーボード上部にSurfaceスリムペンを収納できるようになっています。
必要なときにすぐ使えて、収納すれば自動的に充電されます(ペンが必要ない方はペンなしタイプもあります)
一方、Surface Pro 7では、これまでどおり電池式のペンが利用可能です。Surfaceスリムペンもオプション購入すれば利用可能ですが、キーボードに収納することはできません。
カメラ性能はSurface Pro X
背面カメラの性能はSurface Pro Xが1,000万画素でビデオは4Kまで対応、Surface Pro 7よりも高画質です。インカメラはどちらも500万画素です。
実際に写真を撮ってみると、両者とも正直そこまで性能が良いという印象はありませんが普通に撮れます。PCでスナップやオシャレな写真を撮る機会はあまりないと思うので記録用としては十分な性能でしょう。
カメラ性能 | |
---|---|
Surface Pro 7 | Windows Hello 顔認証によるサインイン用カメラ (前面) 5.0 MP フロント カメラ (1080p フル HD ビデオ) 8.0 MP のオートフォーカス機能付き背面カメラ (1080p Full HD ビデオに対応) |
Surface Pro X | Windows Hello 顔認証用カメラ (前面) 5.0 MP フロント カメラ (1080p フル HD ビデオ) 10.0 MP オートフォーカス機能付きリア カメラ (1080p HD および 4K ビデオ) |
本体カラーと素材の質感
本体のカラーバリエーション
Surface Pro 7では従来どおり、プラチナとマットブラックの2色展開です。
Surface Pro Xは、当初はマットブラックのみのカラー展開でしたが、2020年10月13日より新色プラチナが追加されました。
Surface Pro 7 | Surface Pro X |
---|---|
マットブラック プラチナ |
マットブラック プラチナ |
素材の質感の違い
本体の質感を言うと、Surface Pro 7とSurface Pro Xでは材質が異なっているため別の印象を受けます。
Surface Pro 7の素材はマグネシウム合金、Surface Pro Xの素材はアルミニウム合金です。どちらも丈夫で軽量なためPCによく使われる素材です。一般的にはマグネシウムの方がやや強度があり衝撃に強いとされています。
Surface Pro 7 | 通気性のあるシグネチャー ユニボディ マグネシウム デザイン |
---|---|
Surface Pro X | カーボン コンポジット ファンレス熱冷却機能を備えた、シグネチャ陽極酸化アルミニウム |
材質の違いはありますが、どちらが優れていて劣っているということはありません。
個人的には、Surface Pro 7の本体ケースはツヤのないマットな印象、Surface Pro Xの本体も非光沢ですが少し艶やかで高級感を受ける素材に思えます。
指紋の付きやすさはどちらも同じです。特にブラックはどちらの機種も「指紋がつきやすい」印象です。
詳しくは各レビュー記事の外観写真を確認してください。
参考
Surface Pro 7 レビュー このスペックなら学生・仕事・イラストレーターでも満足!(2019年モデル)
Surface Pro X レビュー「これはPCではなくARM版Windowsタブレット(キーボード付)!」
Surface Pro Xの注意点
Surface Pro XはバッテリーやLTE通信面でSurface Pro 7より優れていますが、注意しておくポイントがあります。
先に述べたように、Surface Pro XではARMベースのWindows10が搭載されているため、現状では64bit(x64)のアプリケーションは動作しません。
通常のアプリケーションでは、64bitのほかに32bit(x86)バージョンのアプリも提供されている場合がありますが、64bit版のみしかないこともあります。
一部のゲームやウイルス対策ソフトが動作しないという可能性があります。
米マイクロソフトはアプリパートナーに対してARM版アプリの提供に注力するよう依頼しているため、今後はARM専用アプリが増えていくとは思われます。
また、2020年11月よりWindows Insider Previewにて64bit版アプリのエミュレーション機能が提供される予定となっていますので、今後の展開に期待したいですね。
アプリ動作に関してはSurface Pro X レビュー記事で詳しくまとめました。
参考
Surface Pro X レビュー「これはPCではなくARM版Windowsタブレット(キーボード付)!」
Windows 10 ARM ベース PC アプリの互換性
Surface Pro 7 とSurface Pro X の価格
Surface Pro Xの国内価格が発表されましたので価格を更新しています。
Surface Pro 7とPro Xを比較するとPro Xの方が若干高めの設定です。
Surface Pro 7 | |
---|---|
Core i3/ 4GB/ 128GB | ¥109,780 |
Core i5/ 8GB/ 128GB | ¥131,780 |
Core i5/ 8GB/ 256GB | ¥153,780 |
Core i5/ 16GB/ 256GB | ¥175,800 |
Core i7/16GB/ 256GB | ¥204,380 |
Core i7/ 16GB/ 512GB | ¥247,280 |
Core i7/ 16GB/ 1TB | ¥295,680 |
Surface Pro X | |
---|---|
MS SQ1/ 8GB/ 128GB | ¥142,780 |
MS SQ1/ 8GB/ 256GB | ¥164,780 |
MS SQ1 or SQ2/ 16GB/ 256GB | ¥204,380 |
MS SQ1 or SQ2/ 16GB/ 512GB | ¥241,780 |
価格はタイプカバーを含まない本体のみの価格です。
Surface Pro を利用する場合、通常はキーボードになるタイプカバーは必須です。Surface Pro X用のタイプカバーにはSurfaceペンも収納されることから少し高額(32,560円)ですが、Pro 7のようなペン無しタイプ(18,040円)も販売されています。
Surfaceタイプカバー/ ペン/ マウス
※2020/10 Surface Pro Xにラインナップが加わったため更新しました。
詳細の製品技術仕様については各製品ページで確認できます。
Surface Pro 7 (2019)
Surface pro X (2019)
Surface Pro XとPro 7 どっちがオススメ?
Surface Pro Xには性能・機能面で優れた部分がたくさんありますが、独自のCPUを採用していることから動作の制限を受けるアプリもあります。
ご自身の使い方からどちらを購入するかを考えるとよいと思います。
Surface Pro 7がオススメ
- 仕事や大学でガッツリ使いたい!
- 好きなセキュリティソフトを使いたい!
- いろんなゲームもやりたい!
- 普通でいい、普通でいいんだよ!
Surface Pro Xがオススメ
- いつでもどこでもネットがしたい!
- 海外出張先でもスムーズに使いたい!
- 使うアプリは多くないけど、快適に作業したい!
- バッテリーを長持ちさせたい!
少し冗談めいて書きましたが、正直な意見です。
Surface Pro 7とSurface Pro Xのどちらを購入しようか、どうしても決められないという場合にはSurface Pro 7を購入することをオススメします。
Surface Pro 7はSurfaceシリーズで一番人気のある機種で、快適なスペックを選択すれば仕事や勉強・プライベートでもやりたいことがなんでもこなせるはずです。
Surface Pro Xも革新的でいいんですけど、少しクセがありますので、新しいガジェット好きな方向けという感じがします。
イラスト作成などクリエイティブな作業に関しては、どちらのSurface Proでも可能です。ただし、対応するアプリが快適に動作するかどうかで言えば、Surface Pro 7の方が安心感はありますね。
以上、Surface Pro X と Surface Pro 7 の違いと価格などについて書いてみました。
どちらも最新ノートPCの中では最高クラスの性能を誇る2 in 1デバイスです。お好みのデバイスをチェックしてみてください。
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詳しくはこちらの記事で書いています。
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